昭和の本の思い出
こんにちは! 株式会社新橋大好きの鈴木です。新橋で昭和ブックカフェを経営しています。同店に備えている本の中から鈴木の思い出深い本について読み感じたことを「昭和の本の思い出」として当社HPに掲載することといたしました。
第一弾はコミック「ベルサイユのばら」です。数多くの昭和の本の中で男性の自分が少女コミックを最初に選んだのは本書の素晴らしさとある一つの疑問を長年抱いていたからです。それは、主人公がオスカルなのかマリー・アントワ
ネットなのかという疑問です。主人公と思っていたオスカルが死去して連載終了と思っていたところマリーが処刑されるまで3 ケ月以上連載が続いたので疑問を抱いたのです。
連載第一話の冒頭でフェルゼン、オスカルとともにマリーの生誕が紹介されていますが、タイトルを記した見開きページでマリーが大きく描かれていることからも原作者の池田理代子さんはマリーを主人公として描くつもりで連載を開始したことは明らかです。また当店に備えてある池田理代子さんが監修した「ベルサイユのばら」大辞典の表紙はオスカルですが登場人物紹介欄では、マリーと彼女が思慕していたフェルゼンの順で紹介されその次にオスカル、アンドラが紹介させています。原作者がマリーを主人公として考えていたことはこれからも確認できます。ちなみに少女マーガレットが編集したイラスト集ではオスカルをめぐる人々と登場人物を紹介しており主人公はオスカルという扱いです。
長年の疑問はNHK の番組で氷解しました。池田さんが出ている番組を偶然見て、『マリー・アントワネットを描きた
かった』と発言されていました。マーガレット編集部が歴史ものは当たらないと主張し架空の人物であるオスカルを登場させることで連載の合意を得られたとのことでした。マーガレット編集部の慧眼に敬服いたします。
『週刊マーガレット』を姉妹が買っていたので、ベルばらは連載当初の三話目から読んでいました。宮邸でのルイ十五世の愛妾との確執など連載当初はマリーが主役でした。しかし話が進むにつれオスカルの登場シーンが増え主役となりました。原作者の池田理代子さんはフランス革命を描きたかったので庶民の生活や思想などを紹介する必要があったでしょう。マリーがそれらに触れるという描き方はできなかったでしょうからその役割はオスカルが演じオスカルの登場シーンが増えていき彼女の正義感と凛とした姿勢が読者を魅了したのだと思います。
またオスカルと彼女に思慕するアンドレに読者からの人気が集まったことも登場が増えた理由でしょう。歴史上の人物なのでマリーとフェルゼンを結ばせるわけにはいかなかったでしょうが架空の人物であるオスカルとアンドレは結ばれた。この最後に結ばれたということがオスカル・アンドレに人気が集まった理由かもしれません。宝塚で上映された
「アンドレ」、「オスカル」の呼び合いはベルばらの代名詞となりました。